恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
経理課の仲間は、みんな忙しそうにしてる。
「遅くなりました。すみません」
私は、あわただしいオフィスの空気の中、自分の席についた。
殺伐とした経理課の中にいても、私のまわりだけは、さっきの葛城さんの空気に包まれていた。
振り払おうとして、身体を震わせても、抱きしめられた時の感覚が残って身震いした。
顔を上げると、佐藤課長が美沙ちゃんと話しているのが見える。
佐藤課長は、経理課の課長だ。
課長もう、会議から戻って来たんだ。
課長が戻る前に席に戻ろうと思ってたのに。
ペコっと頭を下げて会釈をすると、課長が私の姿を見つけて声をかけて来た。
「村西、葛城さんとは、話はついたの?」
経理課の佐藤課長は、40代半ばのメガネをかけた、経理一筋といった風貌の人だ。
「はい。佐野君には、葛城課長の方から伝えてもらうようにお願いしました」
名前を口にした途端に、葛城さんの顔が浮かぶ。
「そうか。葛城君と話ついたのか。ご苦労様」
よかった。
葛城さん、『その件については、君が間に入らなくていいから』と言ってくれた。