恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「葛城さん。やめて下さい。こんな事されるのは、迷惑です」


「君は、俺のこと好き?」

私の顔を覗き込むようにして言う。

「そんな事に答えて、どうしろって言うの?」私は、彼を無視して言う。

「大事な事なんだ。恋愛は一人じゃできない」

「私は、あなたの相手じゃないです」

彼は、私の表情から何かを読み取ったみたいに、満足そうに笑った。


「いくら、君にそう言われて迷惑がられても、好きになってしまったもんは、仕方ない」

洗い終わったお皿をシンクの横に置いて彼に向き合った。


「私たちが始めようとしてるのは、恋愛じゃありません。全然違うんです。
だから、もう、本当に帰ってください」

私は、強い口調で言った。

葛城さんは、私が大きな声を出すのをひるむどころか、面白そうに見ている。

「なあ和泉、恋愛じゃなかったら、何で俺のこと追い出すの?」

ええっ?

「追い出すのは、当たり前じゃないですか。あなたには婚約者が……」

「そうだね。でも、俺を追い出すのは真梨香に遠慮してるからじゃないだろう?」

「だったら、何なんですか?」

「君も、気が付いた?俺のこと意識してるってこと」

「ふざけないでください」

「俺のこと、何とも思ってないなら、もっと平然としてればいいじゃないか。どうしてそんなに向きになるの?」

「それは……」

「俺のこと好きになったから?」

「好きになんかなってません」


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