恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~

「好きになるって、なに?
たった一か月だよ。そんな短い間に何ができるっていうの」

「時間なんか、関係あるか。
悪いこと言わない。和泉、俺にしとけって。
お前、恋愛初心者のくせして、
葛城さんとか、雲の上みたいな人相手にするのは、無理だって。
面倒な事止めておけって」

お酒を飲みながら、彼は冗談っぽく言う。

「佐野君じゃ嫌だ」私も、軽く答える。

「何わがまま言ってるんだよ、お前、和泉のくせして」
彼は、私の髪を指で絡めて遊んでる。

「だって、私……」

「俺のこと苦手だからだろう?」彼が顔を近づけ来る。

「分かってるなら……」
私は、彼のおでこを指ではじく。

「葛城さん好きになったら、傷つくぞ。泣かされるぞ」

「私が泣いたら、佐野君ざまあみろって言うんじゃないの?」


「バカなやつ。好きな女が泣くの見て、辛くない奴いるかよ」

「ん?」なに、今の?


「お前のこと、好きだって言ってるだろう?なんとか言えよ」

「はあ?」

「はあじゃねえだろう?」

「うそ。わ、私のこと好きって、本気で言ってるの?」

いじって遊んでただけでしょう?

「当たり前だろう。冗談で言えるか」

「からかわないでくださいよ。私の事見るとき、怖い顔してるし、睨むし。
そんな顔で好きだなんて。本気にしただろうって、言うんでしょう?
そんな手に乗らないから」

お願い。冗談だと言って。

佐野君とは、唯一話が出来る同期なのに。
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