恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~

「んじゃや、証明してやろうか?」

佐野君がけしかけて来る。

「どうやって?」

「こっちに来いよ」

佐野君が手で、こっちに来いと合図してる。

私は、彼に言われるまま横に移動した。

彼の横にちょこんと座る。

佐野君、体育会系らしくがっちりした体つきをしてる。

隣に座ると余計に圧迫感を感じる。

「和泉、こっち向け」

「ん?」


力強い腕が背中に回され、ぐいっと引き寄せられた。

気が付いた時には、私は佐野君の腕の中にいた。


「本当、鈍い奴だな。でも、俺、チャンスは逃さないから。悪いな和泉」

なに?

何で?

佐野君、顔近づけるの?


近付いてくる彼の顔を避けようとしたけれど、そんな事、佐野君は百も承知だった。

大きな手で頭の後ろをがっちり固定してた。

ええっ?

全然、動けない。

佐野君の唇が触れそうなほど近づいてくる。

「止めてったら。冗談にもほどがある」

彼は、ふっと口元を緩めて笑った。

本気なの?

本当に私たちキスするの?

佐野君、ちょっと待って。

まずいって。

彼の胸の中で私が逆らっても、佐野君にしてみれば、抵抗にもならない。


「あっ」

唇が軽く触れあって、何度もかすめた。

やがて、触れあったまま深いキスになった。

佐野君は、弄ぶように何度もキスをした。

「佐野君……お願い」


「おい、止めろって言えよ。ずっとこんな事してると最後までしちゃうぞ」

< 140 / 267 >

この作品をシェア

pagetop