恋のルール教えて下さい　～憧れの課長と大人の恋～
「そうか。そのことは、深く反省してるよ。
一歩間違えば、口をきいてもらえないほど嫌われたかもしれなかったね」

「葛城さん、どうして、あんなこと……
キスなんかしなくても、あなたなら、どうにかできたはずです」

「どうにかできたはずだっていうのは、今、こうなってるから言えることだよ。

あのまま君とすれ違っただけでは、二度と会えなかった人だったかもしれない。

だから、あの時は、どんな手を使っても君に近づきたかった」

「ひどい人、私、暴行魔に間違われると困るっていう嘘、信じてたのに」

「だって、あんまりびっくりした顔してたから。あのまま君が叫び続けたら、いよいよまずいと焦ったよ」

「私、葛城さんを破滅させるほど、価値のある人間じゃありません」

「破滅か。和泉になら破滅させられてもいい。さあ、こっちにおいで」
彼が手招きする。

私は、テーブルに前のめりになって彼に近づく。

横に座ると、葛城さんがぎゅっと手を握ってくれる。

そして、小さい声でささやく。

「そう、近寄らないでくれって思ってるのは、すぐに気が付いたよ」

「どうして、そのままにしておいてくれなかったんですか？」
私も、彼にだけ聞こえる声で言う。

「とても、興味がわいたんだ。
その時俺は、君の事、それなりに経験を積んだ女性だと思ってたから。
このまま君と、無関係のままでいたくないと思った。

通りすがりで済ませたくないと思った。
でも、危なかったね。
下手したら、嫌われるところだった。

君のような慎重な女性に、あんなことしてしまって。後から失敗したと思ったよ。
もう、許してくれないだろうな。
だから、諦めようとも思った」
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