恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~

「びっくりしたんです。
でも……嫌じゃなかった。
私、そのことに驚いたんです。体が拒絶しないなんて初めてでしたから」

そうか、と言って彼はもう一度、頭をなでてくれた。

「そうか。それなら、良かった」

「もう少し、触れて下さい」
彼の手を取って、頬にあてる。

「いいのか?」彼は、驚いている。

「温かい。人の手がこんなに温かいなんて……」

葛城さんの指を、口元に持って行く。

「和泉、ちょっと待て」
彼が真剣な顔をしてる。

彼は、両方の頬を手で覆って、私の顔をぐっと引き寄せる。

「本当に、もっと触れてもいいのか?」

「はい」

「よかった。
最初の対応で、かなり失敗したと思ってたから。それを聞いて安心した」

ほっとしたよと、何度も何度も私の頬をなでくれる。

彼は、私の態度が変わったのに気がついていた。

「何か、あったのか?」

私の顔を真っすぐ見ながら言う。

「この間、付き合ってた元カレに会ったんです」

「えっ?」

葛城さんが驚いて不安げな顔になった。

彼の手に緊張したみたいに、ぎゅっと、手に力が入った。

「偶然、町で彼にあったんです。向こうは、小さな子を連れていて」

「そう……そっか」

< 174 / 267 >

この作品をシェア

pagetop