恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「びっくりしたんです。
でも……嫌じゃなかった。
私、そのことに驚いたんです。体が拒絶しないなんて初めてでしたから」
そうか、と言って彼はもう一度、頭をなでてくれた。
「そうか。それなら、良かった」
「もう少し、触れて下さい」
彼の手を取って、頬にあてる。
「いいのか?」彼は、驚いている。
「温かい。人の手がこんなに温かいなんて……」
葛城さんの指を、口元に持って行く。
「和泉、ちょっと待て」
彼が真剣な顔をしてる。
彼は、両方の頬を手で覆って、私の顔をぐっと引き寄せる。
「本当に、もっと触れてもいいのか?」
「はい」
「よかった。
最初の対応で、かなり失敗したと思ってたから。それを聞いて安心した」
ほっとしたよと、何度も何度も私の頬をなでくれる。
彼は、私の態度が変わったのに気がついていた。
「何か、あったのか?」
私の顔を真っすぐ見ながら言う。
「この間、付き合ってた元カレに会ったんです」
「えっ?」
葛城さんが驚いて不安げな顔になった。
彼の手に緊張したみたいに、ぎゅっと、手に力が入った。
「偶然、町で彼にあったんです。向こうは、小さな子を連れていて」
「そう……そっか」