恋のルール教えて下さい ～憧れの課長と大人の恋～

男性に抱きしめられて、安心したと思えたのは初めてだった。

心地よい、彼にそう伝えるためにはどうしたらいいのだろう。

バッグを持つ手が離れて、足元に落ちた。
手が自由になった。

私は、腕を伸ばして彼の背中に回した。

回した腕にぎゅっと力を入れる。

そうすると、彼の体が近くなった。
彼のぬくもりが伝わってくる。

彼が息をのむのが分かった。

「ああ、嬉しいな。
君がこんな風にしてくれるなんて」

自分から、抱き合いたいと思った。
彼に触れていたいと思った。

身体を重ねて。こんなに違和感のない人が世の中にいたなんて。

こんなにぴったりな人が、この世にいたなんて。

「好きです。
私、葛城さんのことが好きです」

信じられない。

人を好きになるなんて。

そんなことが、私にそんな感情が芽生えるなんて。奇跡だと思った。