恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
一人じゃ恋はできない
「ここからだと、そんなに時間かからないから」葛城さんが背中を押してくれる。
「時間が掛かるのは、構わないんですけど……」
そのほかのことは、問題がないとは言えない。
まず、彼の家に行くというシチュエーションを想定していない。
ということは、明らかな準備不足。
そもそも、彼の家に初めて行くときの準備って何するんだろう。
まず、そこから分かってない。
ダメだ。自信なくした。
「どうかした?」葛城さんは、不安げな表情で見つめて来る。
「いえ、なんでもありません」
考えても仕方がないのではないか。
何も考えず、彼に誘われるまま、ついて行けばいいのではないか。
スマホで調べようかな。
ダメだ。そんな余裕はない。
葛城さんは、私のやる事を、くしゃみ1つでも見逃さないように見守ってる。
ええい、流されてしまえ。
本当にいいのか、これで?
服装は、出かけるとき一応気を使ったじゃないの。
家にある余所行きの服の中で一番いい物を着てきたし。
格好はそれなりだと言える。
それよりも、問題は中身だ。
中身?中身って、今さらどうするんだ?