恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~

「和泉、どうかしたのか?」
葛城さんが私を正気に戻そうと、肩を揺すってる。

彼は、すでに私の思考回路が、マイナスに傾いたことを察知したようだ。

「葛城さん、お部屋に行くのはまた、今度にします」

心配げに私を見守る顔に、ごめんなさいと謝る。

彼は、肩をつかんで私に前を向かせた。

「どうして謝るの?」答えられなくて、黙ってしまった。

彼に比べて、私、しょぼすぎる。

がっかりするとかそうレベルじゃなくて。あきれられるかも。


彼は、ため息をついて言う。

「ねえ、和泉。やっぱり、今の俺じゃダメ?
ちゃんと、けじめをつけてからじゃないと、俺の事受け入れられない?」

「ええっ?」

私はびっくりして彼に近づいた。

葛城さん、私が逃げ腰になってるのは、自分が悪いって思ってるんだ。

違う違う。

私は、慌てて身振りで示す。

「そんなことないです。えっと、不安は、ない訳じゃないですけど。そうじゃありません」

葛城さん、真梨香さんとのごたごたを気にして不安になってたんだ。

葛城さんが悪いのではなくて。

これじゃあ、酷すぎる。

私の全部がひどすぎる。

葛城さんと並んで立つのは、無理な気がして来た。
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