恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
「これは……お食事は後のパターンだな」

彼が、パクっと私の首筋にかみついた。

「お腹減ってるんでしょう?」

「ん、でも、和泉がそんな顔してるのに、のん気に飯なんか食ってられない」

「葛城さん、私……」

「君って、ほんと分かってない」

「分かってないって?」

「男ってものが、どんな生き物なのか。ほんと分かってない……」

「葛城……あの……」

「問答無用、これだけ俺のこと煽ったんだから、責任取って」

「責任って?」

「目の前で、脱いでよ。一枚ずつ、ゆっくり焦らすように、そう」



私の上で動かなくなった葛城さんが、少しずつ話をした。


葛城さんのお父さんは、彼が小さいことろに亡くなっていた。

母親に育てられた彼は、小さいころから父の会社の話を聞いていた。

だから、自分も父の会社に入るんだって言って大きくなったそうだ。


「だから、普通の人よりは自分会社に対する思い入れは大きいと思う。だけど、そのことが人生の全てじゃない」

「葛城さん……そんなにも、負担をかけてたなんて」

彼は、私を抱きしめる。

「君に言うと、そういう反応をすると思って言わなかったんだ。
いいかい、俺たちにとって過去の事よりこれからのことの方が大事だよ」

「そうは言っても。少し、考えさせてください」

私の頭を撫でると、彼は自分の胸に引き寄せた。

そして、聞き分けのない子を諭すように悲しげな眼で見つめる。

「考えるって、何を?まさか、俺とのこと全部白紙に戻すとか。
結婚しないとか、そんな事言わないよね?」

「どうしたらいいのか、それを考えたいんです」

「はっきり約束して。そうじゃなきゃ。俺、すぐにでも真梨香の親父に辞表を突き付けてくる」
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