恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~


髪を美容院でカットしてもらい、
バッグや靴は、新調するのをあきらめて服に合わせて家にあるものを選んだ。



一日で、恥ずかしくない程度には身なりを整える。

「十分、きれいになったよ」
葛城さんは、嬉しそうに褒めてくれる。

彼の母に会って、いい印象を持たれなかったらどうしようと、私は固くなっていた。

「そんなに緊張して大丈夫?」

「はい」

すでに大丈夫じゃないかも。


日曜日になって、東京の郊外にある彼の自宅に連れて行ってもらった。

日本家屋の古い家で、よく手入れが行き届いている家だった。

この家には、彼のお兄さんとその家族で暮らしているのだそうだ。

「まあ、可愛いお嬢さんね」

なんて葛城さんそっくりな顔で微笑まれて、緊張がほぐれた。

観音様のような上品なお母さんと、彼よりも少し落ち着いた感じのお兄さんが挨拶をしてくれた。

彼のお母さんは、気さくな人で私にも優しくしてくれた。
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