恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
葛城さんを見た時の、うちの母の喜びようはすごかった。
キャーと黄色い声一歩手前で、妹に肘でつつかれていた。
「まあ、よく来てくださいました」
と、いつもでは考えられないような丁寧なおもてなし。
妹以外は、完全舞い上がっていた。
しかし、そういう和やかな雰囲気の中で、愛美はじっとものも言わずに黙っていた。
楽し気に話している両親の横で、ずっと観察している妹の存在が不気味だった。
「こんなに目立つ人なら、もっときれいな女性がたくさん寄って来たでしょう」
ほうら、来た。
世間には、いい人ばかりだと信じて疑わない両親と姉。
愛美は、誰かがブレーキをかける役目を負っていた。
「そうでもないですよ」
このくらいは、想定内だと葛城さんも落ち着いて答える。