恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
葛城さんが、両親の目の前に駆け寄って、突然うずくまった。
「葛城さん?」
彼は、うずくまったのではなく、うちの両親の前で土下座していた。
床に頭をこすりつけて、すみませんと謝っていた。
「そ、んなこと、やめて下さい」母がおろおろして言う。
私は、彼の頭を上げさせようとしたけれど、彼の意志は固かった。
「本当に申し訳ありません。
婚約の事は、ずっと昔によく考えずにしてしまいました。
それを放置して何もしなかったのも自分の落ち度です。
ですが、和泉さんのことは、いい加減に済ますつもりはありません。
彼女を守るためなら、会社も捨てます。
今の私には、和泉が第一です。
彼女以外に、他に大切なものはありません。
すみません。ご両親に反対されても和泉は渡せません。
この人がいなくては、私は生きていけません。ですから、反対しないでください」
「反対も何も」母が涙ぐんでいた。
「もらってくださるというなら」
父も顔を上げて下さいと彼の肩を揺すっている。
「ねえ、愛美」
「仕方ないわね。好きなんでしょう?」
「はい」
「ほんと、バカなんだから」
私は、ずっと葛城さんの手を握っていた。