お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…
こんな夢を見た後は…


少しだけ‥そう少しだけ、お兄ちゃんに会いたくなくなってしまうんだ。

私は制服に袖を通すと、時間を確かめながら洗面所に向かった。

用意を終えて、台所で牛乳だけを飲んで家を出ようとした。
そんな私を見てお母さんが後ろから声をかける。

「あら、未央。朝ご飯いらないの?」

「うん。今日は早く行かなきゃいけない日だから」

ーだってさ。
あと五分もしたらお兄ちゃんが起きてくるでしょ?
なんて言える訳もなくて嘘をついた。

「そうなの。最近そういうの多いわねぇ」

「うん。お兄ちゃんには、先行ってるって言っておいてね。じゃあ行ってきまーす」

お兄ちゃんと私はおんなじ学校だったりする。
だから毎朝一緒に行くし、帰りだって用事がないかぎり一緒に帰る。


「行ってらっしゃい。気をつけてね」

「はぁい」

お母さんの言葉に後ろを向きながら軽く手を振って私は家を出た。

そんな私の後ろ姿をお兄ちゃんが見つめていたとも知らずに。
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