お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…
理由は分かってる。

ーーお兄ちゃんの妙な視線…

それが時々ゾッとするの。

私はハシを止め、ちらりとお兄ちゃんに視線を移してみた。

お兄ちゃんは私を見ていた。


ーーまるで観察するかのように見つめていた。

そう。
例えばこんな視線。


なんでお兄ちゃんは私を、そんな目で見るの?



「おいしい、ね」


恐怖感を隠す為、吐き出した言葉が少しだけ震えた。


「あぁ。野菜も残さず食べろよ」


「…うん」


いつから。
いつからだろう。


物心付いた頃には、もうこんな視線を受けていた気もする。

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