お兄ちゃん、だめ... そんなとこ…かじっちゃだめ…
「じゃあ、また帰りな」

「うん。ばいばい」


クラスまで送ってくれたお兄ちゃんに笑顔で手を降る。
帰りも一緒か…。
またため息が出た。



「いいなぁ。未央はぁ」

「なにが」


机に戻った私を羨ましそうな視線で見つめるのは親友の渚。
ふわふわのパーマがよく似合っている子犬みたいな可愛い女の子だ。

「だってぇ、いつも一緒じゃん。なぎも隼先輩とお昼食べてみたいよぅ」

「ほんと渚はお兄ちゃんのこと好きだよね…」

「だって、かっこいいもん♪」

「それは認めるけど…」

「ねぇ、ねぇ。今日家、遊びに行ってもいい?隼先輩とお話したいのー」

「いいよ。じゃあ今日一緒に帰ろうか」


「やったぁ」

無邪気に喜ぶ渚に気づかれないように眉を寄せる。
渚がお兄ちゃんに抱く感情はただの憧れじゃないよね。

それは薄々気づいてたけど、なんだが胸騒ぎした。
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