雨を待ちわびて
何が、じゃあな、ですか。またお酒飲みに行くのでしょ?
最近の飲み方は、駄目ですって…。
はいって言って、素直にそのままにする訳ないでしょ?
そのままにしたら、それっきりになるじゃないですか。
僕がしないで誰がするんです。…片霧さんの世話女房なんですから、僕。
自分の携帯でしますから大丈夫なんです。
【僕は怪我なんてしてませんから心配しないでください。直さんに会おうとしたら片霧さんに邪魔されただけなんです。結果、待ち合わせをすっぽかしてしまいました。本当にすみませんでした。
…そうですね、また、早目に改めさせて貰います。石井】
んー。大方そんなことだろうとは思ったけど。
石井さんは片霧さんの現状を知らせたいのだろうと思うけど。
私にしろ、片霧さんにしろ、だいの大人ですから。
片霧さんから伝えたい事でもあるなら、言って来るはずです。
何もしなくていいと思っているから、何も無いのです。
まして、石井さんといえども、勝手に自分の事を語られたく無いと思っているだろうし。
それにしても。声は聞いたけど。元気かとも、何も聞かれなかった…。
声を聞けば元気かどうかくらい解る、って一蹴されそう。敢えて長々聞かなくても、話したのだから、元気に違いないだろうと、言うに決まっている。
…フフ。そういう意味では、私も聞かなかったけど、片霧さんも元気そうだったという事だ。
【亨さん、晩御飯にまだ間に合いますか?中止になったから、今、帰ってます。カツサンド、買って帰ってます】
ブー、ブー。…直さん。中止、ですか…。
【まだ大丈夫ですよ。食べてませんから。楽しみに待ってます】
何やら…石井さんという刑事さんは、小細工が上手くいかなかったという事ですかね。
あの刑事さん相手では出し抜くのは容易では無いしょう。
…余計な事をするな、とでも、言われましたかね。