雨を待ちわびて
「…私、縋った分返せるなら、…恩返しになるなら…」
「違う。そうじゃない」
「え?」
「そんな後ろ向きな話じゃない。俺は…言っただろ」
「え?」
「直とだったら…少しずつ、変われそうな気がするんだ。直は弱い。確かに弱い。だけど、俺には、直は大きくて懐が深くて、強いんだ。
解るか?直が居ると俺は……へ、…へ、ヘックショイッ。ゔ〜、寒っ」
直、俺は疾っくにお前に甘えている。
「片霧さん…」
「帰りに雨に濡れたんだ。だから酒も飲まず、真っ直ぐ帰って来てシャワー浴びてたんだ」
「だったら…駄目です。夏とはいえ溜めて温まらないと。あの時、私にしてくれたみたいに」
蛇口を捻り勢いよくお湯を溜め始める。
「さあ、もう一度入り直してください。入って居ればすぐ溜まりますから」
強引に浴槽の縁まで押した。
「直…。フッ、俺にこんな強い態度でモノを言えるのは直だけだな」
…そんなの知らないから。あ、どうしよう…私。
よくよく考えてみたら慎人君から聞いて勢いで来ちゃっただけなんだ。
「泊めてやる。服も貸してやる。パンツは勿論、俺のだ。あ、新品な」
「え?」
「どうせ脱がすけどな」
「え…え?」
「直も濡れてる」
…夕立の中、走ったんだった。
「自分で脱ぐか?それとも、俺に任せるか?濡れてるのは脱がせ難いんだ。面倒だから破いちまうか?」
…一緒に入らなくてもいいじゃない…。
…クシュン、…クシュン。
「ほらほら、早くしないと風邪ひくぞ?」
…。………。
「じゃあ、気絶してろ。…目、瞑れ」
「え?」
ジーッとファスナーを下ろされ、ノースリーブのワンピースが落ちた。
「やっ、えっ!!」
「どうせ濡れてるんだ、よっ、と」
抱えられ一緒に浴槽に入った。
「えー、片霧さん!」
そのままブラのホックが外され、スルっと取られ放られた。
「や、…」
もうしがみ着くしかない。
「直?下、どうする?これは自分で脱ぐか?」
いくらなんでも、明るい浴室でそんな色っぽいショータイムは無理。…どんなに何度も抱かれていたからって、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「このまま、穿いたままで居るつもりか?」
なんならそれでもいい。