雨を待ちわびて
恐る恐る目を開けると、戦利品の如く、濡れて少し重い私の“パンツ”を指先でクルクル回していた。
「!?、キャー、嫌ー」
取り返そうとして暴れたけど、投げられてしまった。
…。
「さあ、心置きなくあったまろうか」
変わらず抱き抱えられていた。二人で入っているから、もうお湯は溜まった。止めた。
「……あん時は、直、無抵抗で…簡単だったな。全部脱がせて、身体も見放題だった。諸々…大変だった…」
…。
「身体、洗ってやろうか?あの時は洗いたいって言ってたけど、勝手には洗えなかったし」
「結構です!もう片霧さんから出てください。あと、バスタオル貸してください」
「やだねって言ったら、どうする?」
そんな、子供みたいな事…。
「よし出るぞ」
え?…えー!…もう?抱き上げられて運ばれた。
流石に…セミダブルの上にダイレクトには…。横に下ろされて、バスタオルを渡された。
片霧さんはまたバスルームへ。
急いで拭いて巻き付けた。どんなに裸を見られているからって言っても、恥ずかしいものは恥ずかしいんだから。
…どんだけ晒しているのよ…、恥ずかしい。
「洗濯、してるから」
「あ…すみません。有難うございます」
急に冷静になった。ベッドに腰を下ろした。
並んでしまった。
黙っていたら雰囲気は冷たくて恐い人なのよね。
チラッと顔を見てしまった。
「直?」
「あ、はい」
「このまま…泊まるよな?」
「…はい」
「そうか。この先…不倫にならなくて良さそうだな」
「え?」
「俺が直を抱いてもだ」
「あ、…」
結婚の事、気にして聞いた訳だ…。
「さ〜て、情熱的なのと優しいのと、どっちがいいんだ?あぁ、どっちもか…」
顎をクイッと上げられた。
「ぁ、…優しくて情熱的なのがいいです」
何、返事しちゃってるんだろう…。しかも、しっかり要求してるし。
「解った。要は色々と一杯すればいいって事だな」
…違う、それは都合のいいすり替えだと思う…。
「そうじゃなくて…」
「直…、もう…黙れ…。もう、ずっと限界だ。来たお前が悪い…」
噛み付かれると思ったのに。ぁ、…ふっ、…んん。口づけは…凄く甘かった。
何よ…ずるい…こんなの片霧さんなのに優し過ぎる…。