雨を待ちわびて

恐る恐る目を開けると、戦利品の如く、濡れて少し重い私の“パンツ”を指先でクルクル回していた。

「!?、キャー、嫌ー」

取り返そうとして暴れたけど、投げられてしまった。

…。

「さあ、心置きなくあったまろうか」

変わらず抱き抱えられていた。二人で入っているから、もうお湯は溜まった。止めた。

「……あん時は、直、無抵抗で…簡単だったな。全部脱がせて、身体も見放題だった。諸々…大変だった…」

…。

「身体、洗ってやろうか?あの時は洗いたいって言ってたけど、勝手には洗えなかったし」

「結構です!もう片霧さんから出てください。あと、バスタオル貸してください」

「やだねって言ったら、どうする?」

そんな、子供みたいな事…。

「よし出るぞ」

え?…えー!…もう?抱き上げられて運ばれた。

流石に…セミダブルの上にダイレクトには…。横に下ろされて、バスタオルを渡された。
片霧さんはまたバスルームへ。
急いで拭いて巻き付けた。どんなに裸を見られているからって言っても、恥ずかしいものは恥ずかしいんだから。
…どんだけ晒しているのよ…、恥ずかしい。

「洗濯、してるから」

「あ…すみません。有難うございます」

急に冷静になった。ベッドに腰を下ろした。
並んでしまった。
黙っていたら雰囲気は冷たくて恐い人なのよね。
チラッと顔を見てしまった。

「直?」

「あ、はい」

「このまま…泊まるよな?」

「…はい」

「そうか。この先…不倫にならなくて良さそうだな」

「え?」

「俺が直を抱いてもだ」

「あ、…」

結婚の事、気にして聞いた訳だ…。

「さ〜て、情熱的なのと優しいのと、どっちがいいんだ?あぁ、どっちもか…」

顎をクイッと上げられた。

「ぁ、…優しくて情熱的なのがいいです」

何、返事しちゃってるんだろう…。しかも、しっかり要求してるし。

「解った。要は色々と一杯すればいいって事だな」

…違う、それは都合のいいすり替えだと思う…。

「そうじゃなくて…」

「直…、もう…黙れ…。もう、ずっと限界だ。来たお前が悪い…」

噛み付かれると思ったのに。ぁ、…ふっ、…んん。口づけは…凄く甘かった。
何よ…ずるい…こんなの片霧さんなのに優し過ぎる…。
< 144 / 145 >

この作品をシェア

pagetop