雨を待ちわびて

ソファーにゴロンとなってみた。
なんて言うか、…窮屈だな。これだと仮眠用のベッドの方がマシだと思う。膝を立て、腕組みをした。
疲れていると場所がどうとか関係無い。自然と眠れるもんだ。

…眠れない。気が高ぶっているんだ。
容疑者を逮捕した事と、…直が部屋に居る事。

…眠れない。

…直。


「……もう…、いつまでここに居るつもりですか?」

「ん、……直…」

「夜が明けるまで居るつもりですか?体、疲れているのに、こんなところにずっと居るつもりですか?」

「直…」

「一緒が嫌なら私がこっちに居ますから、片霧さんはベッドで休んでください。…さぁ」

組んでいる腕に直が触れた。

「…嫌だ」

手首を掴み返した。

「え?」

「直が一緒じゃないなら、ベッドに寝る意味が無い。だったらここに居る」

「…もう、困った刑事さんですね…。何言ってるか解らない。
また、いつ、呼び出しが掛かるか解らないのに。そんな…、戯言言ってないで、早く寝て少しでも身体を休めてください」

「直。…こうして居られるなら、このソファーだっていいんだ」

「あ…、片霧さん、駄目です…かなり窮屈です。というか、落ちてしまいそうです」

「だから抱いてる…これだって落としはしない…」

腕を引かれ、片霧さんの上に倒れ込むように乗せられていた。
< 53 / 145 >

この作品をシェア

pagetop