雨を待ちわびて

「私…、片霧さんを柳との事を消す為に利用しているみたいに思われているようで。そんなつもりは無いんです、でも、それも、…こんな私だから、…違うって言えなくて」

私、汚れているから。

「それが身体だけだという事?気持ちより先に関係を持ってしまった…」

「はい…」

「ん゙ー、そうですね…。片霧さんは、それでいいと思っているんじゃないでしょうか。同時に思いも入ってしまうと、負担が大きいから、守田さんの」

「え?…あ、…」

好きが入ってしまうと、嫌いになられたらどうしようって、気にしてしまう。今の守田さんなら、特にね。

「片霧さん、気持ちは解っていると思いますよ?
だから、んー…。している時もですが、気持ちがあって、してると思います。あくまで僕の見方ですけどね?ただ身体だけでなんて、守田さんとしないでしょ?言っちゃ何ですが、身体だけの相手なら、あの刑事さんなら、そういう人に困らないでしょうから。あんな男くさい人。あぁ、男の中の男って意味ですよ?…女性が群がりますよ、きっと。一晩だけの相手なら。苦もなく居るでしょう。軽蔑しないでください。男とはそういうモノなんです。
鍛えあげた身体…一度してしまうと離さないでしょ、女性の方が。体力だってありそうだ。見た訳じゃ無いですがそんな感じの人っぽい。んんっ。
しかも、ちょっとミステリアスでゾクッとするタイプじゃないですか。屈強で、いい男ですし。
だから、守田さんを思ってじゃなきゃ、そんな面倒臭い事しないでしょ?
世の中、身体だけを求めるなら、ナイスな身体の女性は沢山居ますからね。そういう事だけなら相手はいくらでも居ます。…刑事さんが根性の腐った人で無いなら…。あ、これもあくまで僕の見解ですからね?
何なら、してる時に、好き好きって、言っちゃえばいいんですよ。そしたら結果はすぐ出ると思いますよ?
その気がなきゃ、言われると鬱陶しくなって萎えるはずですから。
…もう抱かないと思います。
それを試すのは怖いですか?…刑事って、職業柄?アドレナリンが爆発しそうじゃないですか。片霧さんは…タフそうだしね。身体もちゃんと鍛えているようだし。
外科の医師もね、オペの後、したくなる人、居るらしいですよ?
あ、ちょ〜っと話がズレましたね。
これは全て、人によるという話です。みんながみんなって事では無いですよ。
…これでは、ただシたくてシてるみたいになってしまいますね。
それより、今更なんですが。
守田さんと刑事さんは、そのような関係だったのですね。守田さんの気持ちは解っていましたが。実は…内心、今、驚いています」

「あの…会ったその日なんです、シたのは。
私が…いいですよって。ちょっと…きっかけみたいなモノもあったんですけど。その時はもう…どうでもよくなっていましたから」

「ん〜、なるほど」

投げやりに。自棄になっていた事もあって、差し出してしまった、気持ちがそうさせたという事ですね…。いいですよなんて言われたら、大方の男はヤっちゃいますからね。…しかも守田さんみたいな女性、逃すはずが無い。
確かに…選んだ相手に間違いは無かったようですが…。

既に、ただの刑事と事件関係者の仲、という事では無かった、か。
< 61 / 145 >

この作品をシェア

pagetop