ALONE
兄貴



『オイ兄貴!』


部屋には時計のアラームが鳴り響いてる。


一つや二つじゃない。


兄貴は部屋にガチャガチャ物を置くのが好きじゃなかった。


ただ目覚まし時計は別。


コレクションかと思うほど机に並んでる。


兄貴は超がつく低血圧だった。


『…。ジン…おはよぅ。てか…君俺の部屋で何してんの?』


寝ぼけ眼。


『兄貴の部屋のアラームが隣の俺の部屋まで鳴り響いてんだよ。うるさくてかなわねぇし…てかまず起きてよ。会社遅れるよ?』


『今…何時?』


目をこする兄貴。


『7時』

『…PM?』

『いやフツーにAM。下らないこと言ってると俺ホント置いてくよ?』


『…かわいくねー』


兄貴は頭をガシガシかいて立ち上がる。





兄貴の名前は榊ルウイ


ただそれは日本語読みのあて字で


両親がフランスで産んだこともあって本当はフランス読みでLouisと書く。


俺は少なくともジンよりは良い名前だと思うが


兄貴はあまり自分の名前が好きではないようだった。
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