ALONE
学校の帰り道


雨足が段々強くなり


傘を持たずに出て来た俺の全身をズブ濡れにした。


確か兄貴も持ってなかった。


兄貴の退勤時刻までまだ時間がある。


俺は家に帰ると着替えをすまし


髪を乾かし


黄色い長靴を履き


ビニール傘2つを手に


兄貴の銀行へ歩いて向かった。




人通りが少ない道路



そこらじゅうに水溜まり



降りしきる雨の音と



俺が水溜まりに足を踏み入れる音だけが聞こえる。




ここいらは一方通行のため車も滅多に通らない。




遠くで人が二人。



話してる。



誰?



こんな雨の中傘もささずに。


もう少し距離が近付くとその一人が誰であるかわかった。




見覚えのあるスーツ



見覚えのあるネクタイ




兄貴だった。
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