ALONE
退勤時間はまだのはず。



なんでこんな所に?




もう一人は誰かわからない。


上下黒のウィンドブレーカー。


両手をポケットに入れ


フードを被ってる。







何か様子がおかしい。



兄貴はしきりにそいつに怒鳴っているようだった。


『お前ら………て…………だろーが!!』


雨の音とこの距離が兄貴の言葉を途切れ途切れにする。


黒のウィンドブレーカーは微動だにしない。



次の瞬間




黒のウィンドブレーカーを着たそいつがポケットから右手を素早く出した。





一瞬何かが光った






…ナイフ?




黒のウィンドブレーカーは走り去った。




兄貴は




降りしきる雨を背に




崩れ落ちるように倒れた。
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