ALONE
俺の中に感じる変化…




それは積み上げてきたものが音を立てて崩れるという感じではなく




俺の今まで全てを優しく包みこみ



今まで冷え切っていたその中心が



熱を帯びた感じ。



そう…


ホントは…



気付いていたんだ。



俺はこの変化に気付いていたはず。



トオル先輩から過去を聞いたあの時の屋上で



美姫と過ごしたあの日の遊園地で



カイトと打ち解けたあのホストクラブで



気付いていたはずなんだ。


俺はそれを


自分に対する『こうあるべき俺』という一円にもならないプライドで蓋をし


気付かないフリをしていた。





人はこんなにも暖かかった。



兄貴…



人は暖かいです。



俺の周りにいる



俺を想ってくれる人々は…


こんなにも暖かいものだったんです。




俺はカイトの肩に回した腕の中で


笑いながら


首が締まって苦しいというそぶりを見せながら



抑えられない涙で頬を濡らした。
< 111 / 306 >

この作品をシェア

pagetop