ALONE
…そうか



みんなもきっと案外俺と同じことを考えていたんだ。



それまで無味乾燥だった俺の世界がガラリと変わる。



人は何かを覚悟した時



意外なところで何かを得られるのかもしれない。



放課後



今までその他大勢だったクラスメイト達が



俺に声をかけて帰っていく。



『榊君バイバイ』


『榊君また明日ね』


『榊、今日はかっこよかったよ』





どう反応していいかわからなかったが


とりあえず声をかけてくれた一人一人に俺は会釈をして応えた。


教室は俺とカイトだけになる。


校庭からは部活動に励む生徒達の声


窓際に立つ俺


背中に当たる夕日が心地良い。


『今日一日で人気者になったな♪』


カイトの言葉に俺は笑う。


『明日から来ねぇんだからもう意味ねぇよ。』



『…お前マジで戻って来ないつもり?』


俺は少し悩んでから答える。


『出来るなら…また来たいね。』


カイトは微笑む。


その笑みは偽善なんかではなく



本心で。



『俺待ってるから。』




俺らは固く握手を交わした。
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