ALONE
俺はFXでトオル先輩の家に向かう。


道は昨日電話で教えてもらった。


電話越しにそれを聞いた時は多少遠回りな感じがしたが


俺がバイクで来ることを予測しての道順だったのだろう。


走れば気付く。



信号や渋滞、通学路や一方通行等を避けた驚くほど走りやすい道。


ホントに先輩には頭が上がらない。




外観から築4〜5年かと伺える2階立ての小さなアパートに着いた。


一階の奥から2番目。


表札は猪瀬。



ここが先輩の家。


インターフォンを押す。


『はい』


女性の声


まさか…


『あ…榊です。先パ…トオル先輩の後輩の。』


少なからず俺はその時動揺していた。


おそらくこの声の主は…


『あ、ちょっと待ってね。今開けます♪』



ドアが開く。


華奢な体


長く綺麗な黒髪


白のブラウスにベージュのカーディガン


初めて見た澤井裕子の印象は


綺麗な大人の女性


そんな感じだった。
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