ALONE
『…ッかは!!!!!!』



衝撃で車のボンネットに体を叩きつけられる吉川。



俺の怒りは止まらない。


瞳孔が限界まで開く。


『知ってたんだな?』



吉川は素早く振り向き俺を睨みつけて言う。


『私にはどうすることも出来なかった!


仕方なかったんだ!


誰が私を責められる!?


私にだって家庭がある!!


ここを辞めるわけにはいかなかったんだ!!』





吉川の声は俺の心に届かない。



俺は吉川に再び歩み寄る


『仕方ない?』


殴られた衝撃で片膝をつく吉川と


俺もしゃがんで目線を合わせた。


『仕事なんか探せばよかっただろう。



休みのない肉体労働だろうが日雇いだろうが…。』


俺はそう言いながら右手で吉川の首を正面から掴み




そのまま後ろの車のバンパーに





乱暴に後頭部を押し当てた。





そして今日1番の俺の心の叫びを





吉川の鼓膜が破けるくらいの大声で




口にした。






『お前みたいな奴の保身と…!!




アイツの命は…!!




ハナっから天秤にかけられるようなモノじゃねぇんだよ!!!!!!』
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