ALONE
後方で扉が開く音。



『シュウジ入りまーす』



…なんつー入り方。


俺はシュウジを睨みつけた。


『おうジン。もう来とったんか♪』



何でこんな軽いノリなのか…



正直この時ばかりはコイツの神経を疑った。



男が口を開く。



『シュウジ…俺を呼ぶからにはそれなりの話なんだろうな?』


シュウジはニヤリと笑う。


『…そうやなぁ、それは瀧本さんの出方しだいやな♪』



『…俺にはガキと遊んでる時間はない。早く話せ。』


『まぁそう急かさんといてや。ジン、この人はな、この繁華街…いやこの町全体を仕切っとる瀧本組の社長さんや♪』


社長?


まるで今や暴力団も一企業みたいな言い方だ。


そのうち上場でもするんだろうか。


『で、この金髪のガキが今回の件でキーマンの…』


『榊ジン君…だろ?』


『なんや自己紹介済んどったんか。』


シュウジは面白くなさそうに椅子に座る。


『で、早速本題なんやけど…今回瀧本さんに頼みがあるんや。』



『…頼み?』


俺そっちのけで会話が進む。


何も聞かされてない俺が話題に参加出来るはずもない。
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