ALONE
『…ガセじゃねぇよな?』



シュウジは笑う。



『瀧本さんに俺がウソ言うたことあった?』






おい…



ちょっと待ってくれ。



勝手に話進めんな。



なんでそこでウチのじぃさんが出て来る?


瀧本は新しくタバコに火をつけると


『フランスで日本人と結婚したことは知ってたが…日本にいたのか…。』


と言う。


何がどうなってるのかわからない。



その時


俺に向けられたシュウジの目線に気付いた。




『聞くな』




『表情に出すな』




目線がそう物語る。



瀧本は大きく煙を吐き出してシュウジに言った。



『…いいだろう。だがな返せなかった時は…』


『指でっか?』



『そうだ。しかもお前達二人の両手から20本。一本50万単位だ。安いもんだろ。』



…いやいやいやいや



『OK♪商談成立や♪』



…いやいやいやいやいやいやいやいや



17年10本指で生活していた状態から


いきなり指のない生活になったら


それこそ死んだ方がマシだと感じるだろう。
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