ALONE
二日後


シュウジから電話が来た。


『今からあのファミレス来れるか?会わせたい奴がおんねん。それと…部屋用意出来たらしいで。』


さすが組長。


…いや社長。


仕事が早い。


俺はすぐに簡単な荷造りを済ませた。


何か口に入れてから家を出ようと思いキッチンへ行くと


和室で流行りの演歌を口ずさみながら

パソコンの前で株のレートを見ているじぃさんが目に入った。


…つーか



お前どんなフランス人だ。


試しに聞いてみた。


『…じぃさん。儲かってんの?』



じぃさんは面倒臭そうに俺を見ると


その視線をまたパソコンの画面に戻し答える。



『……全然だな』






『…フランスではどうだったの?』






『……まぁまぁだな』



『…』



その言葉に基づいて俺の頭の中にある方程式が浮かんだ。




全然=儲かってる



まぁまぁ=ハンパなく儲かってる



俺はじぃさんに


しばらく友達の家に世話になると言って家を出る。


そして我が家を向いて呟いた。


じぃさん…



金払えなかったらマジで頼みます。
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