ALONE
いつもの屋上


『ジンってさ、女いないの?』


いたずらっぽくトオル先輩は微笑む。


『…何急に?』


『いや、お前華の高校生がせっかく二人いるんだからラブトークの一つや二つは当たり前やろ。』


『いや…特にいないけど』


『良いツラしてんのにもったいねぇな♪まぁいたら俺妬くけど。』


ホントにこの人は掴みにくい。


『トオル先輩はいないの?』


『俺?いるよ。』


ちょっと驚いた。


そりゃこのルックスと性格ならいてもおかしくはないだろうけど、そんな雰囲気は感じなかった。



『ジンに猛烈片思い中♪』





『はぁ…』


『いやお前『はぁ…』じゃねぇよ!良いパス送ったんだから突っ込むだろそこは!』


『トオル先輩って…結構メンドイ奴だね』


『お前…そりゃタブーだよ…』


こんなやりとりが毎日。


くだらない青春のイチページ。


居心地がよかった。


いつまでもこんな日々があってもいいと思った。


徐々に暑さが増し


梅雨があけ


一学期も終わる頃


俺はトオル先輩の過去を知る。
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