ALONE
俺とシュウジは家に入り


じぃさんに『忘れ物取りに来た』と告げ2階へ上がる。


シュウジは『お邪魔します♪』とじぃさんに告げ俺の後をついて2階へ上がると


『ホンマのアラン・ジレスやん!!後でサイン貰えへんかな?』



と俺に言った。



…こいつ案外ミーハー。



俺は『やめてくれ』と言って兄貴の部屋に案内した。


殺風景と表現するしかない部屋。


何も手は加えていない。


部屋は兄貴が死んだあの日のまま。


シングルベッド





その上にはいくつかの目覚まし時計


そして…




持ち主を失った旧式のデスクトップ型パソコン。



シュウジは部屋に入るなり


目の色を変えたようにデスクチェアに座り



そのパソコンを起動した。


『これだけが頼みやな…』


そう口にした。



俺はシュウジの横に前かがみでそこに立ち



『そうだな…』



と言って画面を見つめた。



画面にはNOW LOADINGの文字。



二人は画面だけを見る。




画面が立ち上がると



部屋にはマウスの音だけが響き




二人の沈黙が続いた。
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