ALONE
俺はシュウジの話に納得した。


そして俺の意見を言う。



『でも多分単独犯じゃないよな。


もしウチに来たのが殺した奴だったとしたら…


殺した時に俺に顔を見られた可能性だってあるわけだし


知らないところで誰かに見られていたかもしれない。


それでウチに来るなんて…


リスクが高すぎる。』


シュウジは頷く。


『そうやな…


恐らくこの事件の裏には


周到に計画を立てた…






組織がおる。』



その言葉に身震いした。


恐れではない。


自分が暮らしてきた世界がいかに狭かったか


自分が捉えてきた物の尺度がいかに小さいものだったか


俺は改めて思い知った。


この世界の人間はテレビで人が殺されたニュースを日々目にし


何を感じるだろうか。




『かわいそう』


『ひどい』


『こわい』


『またか』



…なんてもんだろう。



しかし人一人が殺される背景には


俺等の知らない


知ってはいけない


理解出来ない


闇がある。



俺達はそんな闇に




あれから10年経った今




片足を踏み入れた。
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