ALONE
『…そうか』





正直これにはかなり堪えた。



やっと掴んだはずの手掛かりが…



期待だけを持たせて消えた。



俺達はこれからどうすればいい。



そんな絶望の淵にいた俺をシュウジが呼び戻す。



『でもなジン…


行く価値はあるで。


今俺等は0.1パーでも可能性を握っとる。


やれることは可能性が限りなくゼロに近くてもやるべきや。


なりふりかまってられん。』






『お前さ…


いちいち一回落としてから希望持たせんのやめてくんねぇか?』



シュウジは立ち上がって言う。


『期待させてから落とすよりマシやろ♪』




まぁ…確かに。




『パスワードは一回保留やな。今は駅に行くのが先や。』





俺達は家を出る。



外に出ると辺りはもう暗かった。



『最近グッと寒なってきたな。こりゃ冬が近いで。』


俺は鼻で笑った。



『俺の中ではお前に会ってから季節は止まったままだよ。』



『ほぅ…そりゃおおきに♪』




俺達は駅に向けてバイクを走らせる。
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