ALONE
30番までのコインロッカー。



その隣にあるはずの




31番以降のコインロッカーの場所には



銀行のATMが置かれていた。



『…マジかよ』



俺はそれしか言えなかった。



人の記憶は『記録』ではない。




記憶は




成長し




時が経つにつれて塗り替えられる。



時としてそれは本人の都合に沿って…。




メディアの『記録』ように正確な




唯一のものではないんだ。





俺は打ちひしがれた。





『ジン、落ち込むんはまだ早いで。』



隣でシュウジがごそごそとポケットを探った。



『…何してんだよ?』



シュウジは100円玉を取り出し



親指でピンと弾くと



それを俺の顔の前でキャッチする。





シュウジはその100円をあるロッカーの投入口に入れ





鍵を引っこ抜いた。
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