ALONE
駅から50mほど行ったところにその管理所はあった。


管理所と言っても外観はただの雑居ビル。


一階は大手携帯メーカーの支店。


二階は個人経営の居酒屋。


管理所は三階と四階に位置し


五階は風俗店が入っている。


俺達は上層階に向かうための唯一の手段である


窮屈なエレベーターに乗り込み


三階へ向かった。





ドアが開く。




入口から膨大な量の傘が置かれていた。



『…これ全部回収物なんやろな』


シュウジは通路にまではみ出した傘を足でどける。



通路の両端にところ狭しと置かれた回収物を横目に歩くと


横長のカウンターに人が見えた。


30代くらいの男。


『何かお探しですか?』


俺は聞く。


『前に駅で撤去されたロッカーってまだここにあります?』


男は表情を曇らせる。


『…あぁあれね。

あれはもうないよ。

ちなみにあの時中にあった物は全部出して…

引き取り手がなかった物はもう処分されたよ。』
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