ALONE
『あれ?今日早いね。4限フケたの?』


『いや違いますけど…ちょっと先輩に聞きたいコトが』


『え?何々あらたまって!?しかもまた敬語戻ってるし!』


『……先輩は2年前何があったんですか?』




トオル先輩の顔から笑みが消える




『何お前?何聞いたの?』


『先輩が2年前に好きだった人が学校クビになって、そのあと先輩が職員室で暴れた話です』


『…ずいぶん冷静かつ大胆に聞くんだな。てかお前それ知ってどうしたいわけ?』


『どうするとか…ないです。ただ…先輩の今を作った出来事を知りたいだけです。』


『大袈裟だな。別にそのことだけが今の俺を作ったわけじゃない。』


『でも先輩の中では物凄くデカイ出来事だったはずです』



しばしの沈黙。



『…そんな知りたいの?』


『はい』


『そっかぁ…』


先輩の顔に笑みが戻った


『ジンには特別な♪』



それから放課後まで


俺は屋上でトオル先輩の話に隣で耳を傾けていた。


胸が引き裂かれるような思いを



押し殺して。
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