ALONE
片岡はため息をつくとシュウジを睨む。



『…2年前も同じようなことさせられたけど

10年も前の捜査資料引っ張り出してわざわざ調べてきてんだから

それなりの金は払ってよね。』



シュウジはいつになく真面目に答える。



『そらもちろん払うで。アンタには感謝しとる。』



それを聞くと


片岡は鞄から茶色の封筒を手元に出し


中から資料を引っ張り出す。



『…199*年*月*日…』



その瞬間俺はハッとした。



…兄貴が死んだ日。



片岡は淡々と資料を読み上げる。



『**線高速道路で大型観光バス2台を含む乗用車17台の玉突き事故が発生。

被害は死者28名、負傷者46名。

被害がここまで拡大した理由として

当時現場は雨が降っていて路面が滑りやすかったこと

また濃霧が発生していて前方5m以上の視界の見通しがきかなかったこと


そして6台目に衝突したガスボンベを積んだ軽トラックが炎上し、現場が火の海となったことが挙げられる。』



俺は息を飲み片岡の話を聞く。


その隣でシュウジは…






なぜか目を閉じて小刻みに手を震わせていた。
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