ALONE
片岡は続ける。



『…事故現場から1番最初に事故を起こしたとみられる車を運転していた女性を焼死体で発見。


同時に同乗していた男児1名を救出。


救出された男児の名は…』



片岡は一瞬目線を上にあげる。



俺ではなく


俺の隣に座っている男に。


シュウジはそこで目を開く。



『…いいから言えや』






片岡は資料に目線を戻す。


『…救出された男児の名は飯塚シュウジ』






……!?





俺はシュウジをとっさに見たが



その真っ直ぐな視線を見て何も言うことは出来なかった。



片岡は更に続ける。



『雨の降る中

ストレッチャーに乗せられる飯塚シュウジ君が意識を失う前に

何があったんだ?と救急隊員に聞かれ

残した言葉は…










人が空から降ってきた。』




…?




『事件は炎上した現場からほとんど手掛かりを得るに至らず

事故で死亡した飯塚シュウジ君の母

飯塚清美の前方不注意による運転誤操作が原因と警察は結論づけ

それを最終報告書として当時は発表。』



俺は口を挟む。



『当時は…?』
< 201 / 306 >

この作品をシェア

pagetop