ALONE
シュウジは片岡を鋭く睨む。


『警察はその後俺ら家族がどんな思いして生きとったかわからんやろな。

オカンに否はあらへんのに死んでもなお事故を起こした張本人言われて…』



片岡はため息をつく。



『あたしに怒ってもどうにもならないわよ。

あたしは当時まだ新人だったし…

その事実を知ったのだってアンタと会った2年前よ。』


シュウジは不満そうに頷く。



『…わかっとんねん。


調べてくれたアンタには感謝しとる。


ただ…


どこに怒りぶつけていいかわからんのや。』



シュウジがそう言うと片岡は席を立つ。



『報告は以上よ。

また何かあれば連絡してちょうだい。

資料は置いとくわ。どうせコピーだし。

あ、お金は銀行に振り込んどいてね。』



片岡は香水の残り香を残してそのまま去っていった。






俺はシュウジと向かい合うように片岡が座っていた座席に座り直す。



黙るシュウジに聞いた。



『お前の母親…事故で死んだのか?』



シュウジは視線を俺に向ける。



『あ?…あぁ。そうやで』



『でも…お前妹いなかったか?幼稚園の。』
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