ALONE
焼けただれた皮膚を移植で補った痕が生々しく残っていた。


『この10年傷の痛みが疼かなかった夜はない。

毎晩毎晩あの日のことを思い出す。

毎晩毎晩車のボンネットに人が降ってくる夢を見る。

わかるかこの恐怖が?

でも俺は酒やドラッグにも逃げずそれと闘ってきた。

俺は夢を見る度に…

傷が疼く度に思うんだよ。


奴らを俺自身が裁くまで…



俺のこの傷は癒えることはない。』



俺はそこで口を開く。



『…わかった。もうその腕しまえよ。』


シュウジはゆっくりと袖を下ろす。


『お前の言いたいことはわかったよ。

でもさ、まだ俺としては兄貴を殺った奴らとお前の遭った事故を起こした奴らが同一かどうか確信持てねぇんだけど。』


シュウジはそこで気持ちを落ち着けたのか

周りを取り巻く緊張を和らげた。






『…そうやな。

ちょっと先走り過ぎたわ。

まず順を追って俺の考えを説明したるわ。


…ちなみに今から話す話は


あの片岡にも言うてへん



俺の中にずっと秘めてきた話や。』
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