ALONE
『まずな…

自殺にみせかけて殺されたとみられる坂本裕紀。

こいつまず自殺する意味がわからん。』


『自殺する意味?』


『こいつ死ぬ前日…

**銀行本店に呼ばれて…

昇進を言い渡されとる。』


『…昇進?』



『そや。

別にエエ大学出たわけでもない。

業務成績も中の下や。

なんでそんな奴が出世した思う?』







シュウジは続ける。


『考えられるのは…


会社にとって決定的な弱みでも握っとったんやろな。』



…!?



『それって…』



『そう。お前の兄貴と多分おんなじや。

普通出世した翌日に遺書残して死んだりするか?

しかも坂本が飛び降りたビルは勤めとった銀行の支店も入っとらんし…

ましてや自宅から電車乗り継いで30分以上かかる。』



『…つまり?』



シュウジはそこで今日初めて笑う。



『つまり…そのビルから飛び降りないかん理由があった。


あの高速の真上にダイブせなアカンかった理由…


即ちそれは俺が経験した交通事故が必然やったゆうことや。』
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