ALONE
『…必然?』


『恐らくあそこまで被害が拡大した事は坂本を殺した奴らにとっても嬉しい誤算やったんやろな。

結果として炎上したお陰で

遺書などから一応転落死として判断された坂本は

事前に殺されたにしても正確な死因が特定出来んほど焼かれてもうた。

更に高速道路はめちゃめちゃ。

それに東京中の救急車が出動し

東京中の病院のベッドも埋まった。』



『…高速?救急車?病院?

一体何の話だ?』



シュウジは俺を指差す。



『まずジン。

お前の兄貴の話や。』



…?



『見たで。

お前の兄貴の訃報が載っとった新聞記事。

あの日…なんで12回も搬送受け入れ拒否された思う?』



…!!



『…そうゆうことか。』



その時


兄貴が救急車に運ばれた時の記憶を思い出した。


隊員の制服には無数の血痕。


あの隊員の『大丈夫』と言いながらも裏腹だった疲弊した表情。


恐らくあの隊員達は既に事故現場でいくつかの搬送処理を終えた後で…


東京中の病院がこれ以上搬送の受け入れが出来ないことを悟っていた。



…全ては兄貴を殺した奴らの




意のままに。
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