ALONE
…信じられない。




まず俺の許容範囲を大幅に越えた話に頭がパンク寸前だった。



『もうわかるな?


その裏口座…


お前の兄貴の銀行にあるんや。』




…!?




『…うそだろ』



『残念ながらマジや。

ちなみにお前の兄貴のデータに入っとったのは全部裏口座のリストや。

知り合いのプログラマーに解析頼んだらそいつも99パーそうやって言っとった。

そこには脱税なんかを目当てにした有名な政治家やら企業取締役やらの名前がゴロゴロおるで。

羅列された不規則な数字は口座番号を表しとると考えれば全て説明がつく話や。』



『…なんでイシガミとかゆう奴はそんな事を』




『恐らく…

数年後にあった民営化が背景やろな。


国が完全に仕切り始めたら


前みたいに国益を簡単にむしり取ることは出来ん。


だから焦った。


自分が辞める前に…


民営化される前に後生を贅沢して過ごせるだけの金を残しておきたかったんやろ。


そして同じ時期に


銀行内に裏口座の存在を明るみに出そうとした者がおった。


その時それにビビったんはイシガミ総裁だけやあらへん。』
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