ALONE
俺達は揃ってファミレスを出た。



足取りは軽い。




もちろんまだ何かが解決されたわけではない。




キャバクラに行けることが嬉しいわけでもない。(少なくとも俺だけは)





俺は今




シュウジと一つの道を同じ線をたどって歩いていることが嬉しかった。





兄貴が殺されてから




シュウジの母親が事故で死んでから




10年の時が流れた。




別々の場所で人生を歩んできた二人。




癒えぬ傷を抱え



その傷は各々の人格を形成する上で少なからずのスパイスとなり



世間で呼ばれる一般的という尺度に当てはまらない人間へと成長させた。



成長した二人は




何か理屈では表現できないモノで共鳴し合い




今共に同じ道を歩く。





『榊 ジン』



『飯塚 シュウジ』



『榊 ルウイ殺害』



『坂本 裕紀自殺』



『**線高速道路交通事故』



『CD−R』



『アケミ』




10年前までバラバラだった





全ての点と点が








時を経て







線になる。





そして俺達は



それをたどる。
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