ALONE
アケミという女を捜し始めて一週間が経った。



収穫は無し。



回ったキャバクラは5件。


普通に考えれば一日最低2件回ったとして既に14件は回れるはずなのだが…




飯塚シュウジはここにきて見事に足を引っ張ってくれた。




驚いたことにシュウジは酒がめっぽう弱かった。



そのせいで一日一件が奴の限界。



しかもこの一週間のうち2日はシュウジの二日酔いでアケミ捜しはキャンセルとなっていた。




俺はこの一週間で色々と疑念が募っていた。



まずシュウジがこれほど酒が弱かったという事実は置いておいて…



はたしてアケミという女は今もキャバクラで働いているのだろうか?



あれから10年。



定かではないが今少なくともアケミは30近い年齢のはずだ。



もしかしたら今は水商売の世界から足を洗い



どこかの企業に勤めてOLでもやっているのかもしれない。



俺にはどうもそれが不安だった。




俺達がしていることは…




ただの徒労に終わるのではないか。
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