ALONE
燃え上がる炎。



それは



フロアの入口に



俺達とSPの男達との間を隔てて



壁となり立ち上がる。



『熱ッ…!ジン!さっさとずらかるで!』



その時初めてシュウジの意図を理解した。



それまで一見とち狂った行動に見えたが…



全てはシュウジの計算。



この一連の行動は奴らに対するメッセージ。



そして宣戦布告。



『俺達はお前等が何をしたか知ってる。

さぁ捕まえてみろよ。』



そう言いたかったんだ。



バラ撒かれた裏口座のリストを見せ



同時に店に損害を与えることで更に本気にさせる。



俺達を捕まえざる負えない舞台を作った。



しかしその場で俺達を捕まえようにも



フロアの入口に立ちはだかる炎の壁がそれをさせない。



更にシュウジの右手には銃。



これだけイカレた行動を目に焼き付ければ



追えば本気で撃つかもしれないという恐怖心を与えるに十分だろう。



極めつけは仮に俺達を時間差で追ってこれたとしても



走り去るバイクは俺達の物ではない。



全てがシュウジの意のままに事が運ぶ。
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