ALONE
『聖域』に客として入ることを許可されたその男。



容姿は端麗。



白いスーツ。



シルバーの髪。



眼球は青。



俺が店に入る前に見た男に間違いはなかった。



本能が危険と呼びかけるその男…



『裏世界の住人』



男はその時俺に対して



余裕の笑みを浮かべ



左手をスラックスのポケットに入れたまま



右手の拳を握り



親指を立て



喉元を掻き切る仕草をして見せた。




奴なりの死刑宣告を受ける。




なるほど…。



瞬時に確信した。




あいつは恐らく…




ただの客じゃない。



今日ここにいたのも偶然ではない。



俺達が今日ここに来ることをアケミから事前に聞いていたんだ。



何が言いたいかわかるだろ?




あいつは…








兄貴の件に絡んでる。
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