ALONE
『ジン!何呆けとんねん!』


シュウジが強引に俺の腕を掴んで引っ張った。



俺達はエレベーターへ走る。



ボタンを押すと



来た時からエレベーターがその場に止まっていたためかすぐに扉が開いた。


すかさず乗り込み[閉]ボタンを連打した。


シュウジはそこで俺に話した。



『いいかジン。昨日ヨシアキにこのビルの構造を聞いた。フロアの奥に非常階段があるらしいで。俺が銃で脅して客や女を誘導したことで、まずあれぐらいの火ならケガ人は出んやろ。』


『非常階段!?お前…だったら今下で待ち伏せされてる可能性も…』




ベルの音と共に扉が開く。



『…ジン…すまんな♪』



そこには非常階段を全力で駆け降りてきて…



肩で息を切らせた先程のガタイの良いSPが



2人立っていた。



俺はシュウジに言う。



『いや…お前がどっかしら抜けてんのはいつものことだろ。

で…ここを切り抜ける策は?』



シュウジは笑う。



『強行突破♪』



俺も笑う。



『…そりゃ完璧だ。』



俺達は示し合わせたわけでもなく



同時に



走り出した。
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